そもそもおいしいお水ってどういうことなの?


水の味を説明しろと言われても、説明することは難しいですよね。そもそもおいしい水と言われる水は、どんな水なのか気になりませんか?
最近は、水道水を飲まずに、コンビニで売っているペットボトルの水をわざわざ買うなど、おいしい水を求める人は多くなってきています。さらに、水の味についてはもちろんのこと、すぐに冷たい水が飲めるという手軽さからウォーターサーバーを導入する家も増えてきました。それでは、水道水とそれ以外の水では、どういった違いがあるのでしょうか。
ここでは、おいしい水についてお話します。

おいしい水研究会がある!

「おいしい水とはどんな水?」この問に答えるため、昭和59年においしい水研究会が設立されました。
当時の国立公衆衛生院の院長だった鈴木武夫を座長として、大学教授や水道関係者などの他にも、大山のぶ代さんなど著名人もメンバーとして参加していました。
おいしい水研究会は、日本の水道水のおいしさの現状とその背景などについて調査を行い、おいしい水の水質要件などを検討しています。
 

おいしい水研究会が定めた「おいしい水の水質要件」

水質項目 数値
蒸発残留物 30~200mg / L
硬度 10~100mg / L
遊離炭酸 3~30mg / L
過マンガン酸カリウム消費量 3mg / L以下
臭気強度 3以下
残留塩素 0.4mg / L以下
水温 最高20℃以下

上記の水質項目と数値が、おいしい水研究会が定めているおいしい水の水質要件です。おいしさを感じる条件は、味だけでなく水のニオイにもおいしさを左右する大きな要因があるため、水質要件に臭気強度が含まれています。
ちなみに東京都の水質検査結果は、以下のとおりとなっています。

水質項目 平成25年度の平均値
蒸発残留物 150mg / L
硬度 64.6mg / L
遊離炭酸 2.6mg / L
過マンガン酸カリウム消費量 1.0mg / L
臭気強度 1
残留塩素 0.4mg / L
水温 16.9℃

東京都の水道水は平均的に、おいしい水の水質要件内であり、一般的においしい水と言われています。

水質項目ってどんなもの?

ただ単に蒸発残留物など水質項目を紹介されても、どういうものなのかわからない、含まれていることでどういう影響があるのかがわからないという方もいることでしょう。ここでは水質項目を1つ1つ説明します。

蒸発残留物

水が蒸発した後に残る物質のことをいい、主な成分はミネラルです。ミネラルなどの残留物が多く含まれていると苦味や臭みなどを感じますが、適度に含まれていることでまろやかでコクのある味になると言われています。

硬度

カルシウムやマグネシウムといったミネラル成分が、水1L中に含まれる量のことを硬度といいます。硬度120mg / L以下を軟水といい、硬度120mg / L以上を硬水といいます。そして日本の水のほとんどが軟水で、日本人は軟水を飲み慣れており、硬水よりも軟水のほうがおいしいと感じる方がほとんどです。

遊離炭酸

遊離炭酸とは、水に溶けている炭酸ガスのことで、水に爽やかさを与えますが、含有量が多いと刺激が強くなり、まろやかさが失われてしまいます。

過マンガン酸カリウム消費量

水に含まれる有機物のことをいい、多く含まれていることで、水に渋みを与えてしまいます。そのため含有量が少ないほうが、おいしい水だといえます。

臭気強度

臭いの種類に関係なく、水についている臭いの強さを表しています。おいしいと感じるには味だけでなく、臭いも大切です。カビ臭や藻臭など、水に不快な臭いがついているだけでまずいと感じてしまうのです。

残留塩素

水道水に残留している消毒用の塩素のことを残臭塩素といいます。衛生上、水道水は塩素が0.1mg / L以上残っていないといけないという決まりがありますが、残留塩素の濃度が高過ぎるとカルキ臭の原因となります。
 

おわりに

「おいしい水とは何か」という質問に答えるために、おいしい水研究会が設立されました 。そしておいしい水と言われるものには、おいしい水研究会が定めた定義があります。水質要件を参考にまとめると、適度にミネラル成分が含まれ、炭酸ガス・過マンガン酸カリウム・残留塩素の含有量が少なく、カビ臭や藻臭といった臭気を感じない水のことを「おいしい水」といいます。また水温も大切で、生理的に冷たい水をおいしいと感じるそうです。よって、冷えた水を飲むことでよりおいしいと感じることでしょう。

The following two tabs change content below.
水雑学編集部

水雑学編集部

洗濯や入浴はもちろんのこと、人が生きてい行く上で必ず必要になる水のことをもっと知ってみませんか?