日本は軟水大国?硬水があまり採水されない理由


日本には軟水の流れている地域が大半で、硬水はあまり流れていないと言われています。そのため、日頃からすすんで硬水を飲もうとしないと、なかなか飲む機会もないと思います。なぜ日本ではあまり硬水が採水されない上に、好まれていないのでしょうか。
今回は日本で硬水があまり採水されない理由を紹介します。

そもそも硬水とは

硬水は読んで字のごとく、硬い水のことを指します。主にカルシウムやマグネシウムなどの金属イオン、ミネラル成分が多い水のことです。日本での基準では硬度が121~180mg/Lの水は硬水、それ以上の水は「超硬水」とよばれます。ヨーロッパやアメリカなどの多くの国では硬水の方が主流で、生活用水などもすべて硬水を使用していて、日本では超硬水に分類されるような水も外国だと頻繁に見かけることが多いそうです。
一方、日本では沖縄や関東の一部だけで硬水が確認されています。それ以外の地域では基本的には軟水が流れているので、日本は軟水大国とよばれています。

日本で軟水が多い理由

ではなぜ日本は軟水の方が多いのでしょうか。水は雨水や雪解け水が地面に浸透していき、地下水となってゆっくりとろ過されていきます。その地下水が湧水源などから湧き出すことで私達のもとに届いています。水は地下に留まっているときに石灰岩などからミネラル成分が溶け出し、硬度が高くなっていきます。
日本と外国を比べると、雨水や雪解け水が家庭に届くまでの流れはほとんど一緒ですが、日本は水が地下に留まっている時間が短いために硬度があまり高くない軟水が多くなっています。
また、そもそも日本には石灰岩などが少ない地域が多いので、地下を通ってもミネラル成分が少ない軟水の状態で地表にでてくるというのも、日本であまり硬水が採水されない理由のひとつです。

日本で硬水が採れる沖縄の水の硬度が高くなるのは、石灰岩地層があるためです。沖縄の土地の約30%を形成していて、ここを経由した地下水や湧水は硬度が330mg/Lになることもあり、諸外国の平均的な数値に匹敵します。硬度が高いため、生活用水に井戸水や湧水を使っていると石灰成分が固まってしまい、水道の蛇口やトイレが流れにくくなってしまうことがあったそうです。現在は上水道に流れる硬水には硬度を下げる処理が予め施されるなどの対策が講じられています。

日本人には硬水が合わない

硬水があまり普及していない理由には、日本では硬水があまり採れないことのほかに「硬水が日本人には合わない」ことが大きな理由になっています。日本は、昔から周りの水が軟水であることが当たり前の状態で過ごしてきました。日頃から飲用水や生活用水が軟水に慣れきっているので、急に硬度の高い水を飲むと下痢になったり、ひどいときには肌荒れを起こしたりもします。海外旅行の際に自分で水を用意して持っていくことが勧められるのは、軟水から硬水への急な水質の変化で体調を崩すことが多いからです。
他にも、日本のシャンプーなどの洗剤類も軟水用に開発されているので旅行などで硬水の地域に持って行っても泡立ちが悪くなったり、お茶を淹れるときやお米を炊くときに硬水を使おうとすると仕上がりに大きく違いができたりするので、日本の文化や風土と相性が悪いといえるのかもしれません。こういった理由から日本では硬水はあくまで嗜好品としての面が強く、あまり普及していないのかもしれません。

おわりに

今回は日本であまり硬水が採水されない理由を紹介しました。海外の輸入製品で硬水が商品として出回るようになりましたが、まだまだ日本人には馴染みが薄いのかもしれません。硬水は少しづつ身体に慣らしていけば下痢や肌荒れを起こすこともなくなり、豊富なミネラル成分で体調を整えてくれるようになります。無理して飲むことはありませんが、味や舌触りなどの水の違いを感じてみるのも面白いかもしれませんね。

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水雑学編集部

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