温泉といえば「湯治」などで健康的なイメージはありますが、最近ではその温泉を飲むことでも健康に効果があるそうです。あまり聞き慣れませんが、「飲泉」とよばれるそうです。
今回は温泉を飲む「飲泉」について紹介します。
温泉を飲む「飲泉」とは
飲泉は温泉を飲用することによって、病気の回復や健康的な効果を得ようとすることを目的とします。現代のように正しい医療の知識がなかった時代に、温泉を利用することで病気や怪我の治療を試みることが考案されていて、お湯に浸かるだけでなく飲用することでより温泉の効果が高まるというのが飲泉の考えです。特に炭酸泉は珍しいこともあって「霊泉」として扱われ、通常よりも薬効が高いものとして珍重されていました。代表的として、有馬温泉の湯を元に作られた『有馬サイダー』などがあります。
飲泉の考え方は日本だけに限った話ではなく、ドイツやイタリアなどのヨーロッパ諸国でも盛んに行われています。温泉の湯が科学的にも効果があることが分かっていたのもありますが、ヨーロッパには温度が低いために加熱しなければ入れない温泉がいくつもあったことや、日本のようにしっかりと入浴する習慣がなかったことなどが、飲泉が流行となっている理由になっています。
飲泉のやり方
飲泉はただ温泉を飲むだけでは実践したことにはなりません。温泉の中には強酸性や強食塩泉があるため、内蔵が弱い人がこういった温泉を飲用してしまうと、かえって身体を壊してしまうことがあります。
飲泉を試すときはしっかりとやり方を学んでからにしましょう。
基本的には温泉の源泉を飲用するだけです。1日約200~1000ミリリットルまでが基準となっていて、これを超えないように一度に大量摂取しないようにしましょう。
飲むタイミングは夕食後~就寝前は避け、食前30分~1時間あるいは空腹時に飲むと温泉の成分が体に浸透しやすくなり、効果が期待できます。いきなり源泉を飲むのは抵抗があったり、飲みにくく感じたりするので天然水などで割ることをオススメします。
また、温泉地の周辺では料理やお酒にも使われているので、それを真似して摂取するのも飲みやすいです。
飲泉の効果
温泉を直接体内に取り込むことで、温泉に浸かった時よりも効果が大きくなると考えられています。また、温泉浸かった際に得られる効能以外にもミネラル分を多く含む泉質なら体内環境の正常化させるなど、単に浸かるよりも様々な効果を期待できます。具体的に例を挙げれば、便秘や下痢を改善する整腸作用、高血圧、生活習慣病などに対して効果などです。温泉の泉質で効果が変わってくるので前もって確認し、病気予防や症状改善のために活用してみてください。
飲泉の注意点
上記でも少し触れましたが、飲泉は闇雲に温泉を飲むだけでは健康を害してしまいます。体に悪影響を及ぼさないためにも、まずは「飲泉可能な温泉」の源泉を選びましょう。泉質が強酸性や強食塩泉であったり、成分としてヒ素や水銀が含まれていたりするものは、絶対に飲用してはいけません。保健所から飲泉許可がでていることを確認することを忘れないで下さい。
また、湯治全般にも言えることですが「禁忌症」に注意しなければいけません。禁忌症とは温泉に浸かったり飲用を試みたりした結果、症状が緩和や回復するのではなく悪化してしまうことです。逆に、症状が回復する場合は「適応症」とよばれます。飲泉は源泉を体内に取り込むことになるので、特に禁忌症には注意をする必要があります。健康のための行為なのでくれぐれも悪影響がでないように気をつけましょう。
おわりに
今回は飲泉について紹介しました。湯治は知っていたけど、飲泉は知らなかった方も多いのではないでしょうか。旅行などで温泉街に行くときは飲泉可能な施設がないか調べてみるのいいかもしれません。
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水雑学編集部

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